論文

牧民運動と革命

――モンゴル人民革命前夜(1911~1921年)における牧民運動の歴史的意義について――  

  松村晴恵

 

Ардын хөдөлгөөн бa Ардын Хувъсгал

--Монгол Ардын Хувъсгалын өмнөхөн үеийн (1911-1921 он) Ардын Хөдөлгөөний түүхийн ач холбогдол--

 

The Arat's Movement and the Revolution

 --The historical Significance of the Arat's Movement on the Eve of the Mongolian People's Revolution(1911-1921)--

       Matsumura Harue

 

<1987年1月提出の大阪外国語大学大学院修士論文に修正を加え『モンゴル研究』№10(1987年、モンゴル研究会)に発表。今回さらに誤字脱字などを修正し小見出しを追加しました>

 

*牧民とはここでは遊牧民を指します

 

  もくじ

 

はじめに

 

第一部 遊牧社会の特徴と発展

 第一章 モンゴルの自然と遊牧

 1 遊牧社会停滞論

 2 移動は不可欠

 第二章 モンゴル遊牧社会の特徴と発展

 1 自然経済と表裏一体

 2 自然経済の崩壊

 3 土地も家畜も基本的生産手段

 4 遊牧共同体の移り変わり


第二部 革命前夜の牧民運動と遊牧共同体

 第一章 革命前夜の牧民運動

 1 ボグド政府時代の高揚

 2 暴君トゥデンを糾弾する訴状

 3 逃散相次ぐ東国境地域の闘い

 4 先進的な第二次アヨーシ運動

 第二章 ホト・アイル共同体――牧民運動の基盤

 1 地縁的遊牧共同体の内実

 2 共同体の可能性と限界

 第三章 革命前夜のホト・アイル共同体

 1 富裕牧民も没落

 2 流浪する下層牧民

 第四章 牧民運動におけるホト・アイル共同体間の連帯

 1 サーハルト・アイル

 2 地域の小寺院

 3 下級役人


第三部 牧民運動と革命

 第一章 牧民運動の歴史的限界

 1 多様性がもたらす弱点

 2 全国的連帯には至らず

 3 封建国家の法秩序に依拠

 第二章 牧民運動の可能性

 1 民主的ナショナリズムの芽

 2 不当判決の衝撃と成長

 第三章 牧民運動と革命

 1 革命との連関性

 2 十月革命と東アジアの歴史構造

 3 遅れた国の飛躍的な発展