ウランバートル2015年秋 1
ボグドハン山麓の変貌
マンション群がふもとを覆う
2015年9月、12年ぶりにモンゴルの首都ウランバートルを訪ねた。景気停滞と言われながらも、相変わらずの建設ラッシュだ。
9月24日、うっすら雪が積もるなか、ウランバートル市中心部から南へ約3キロのザイサン丘に登った。ザイサン頂上からは北方向にウランバートル市街が一望でき、南方向には標高2256mのボグドハン山が望める。
驚いたことに、ボグドハン山麓はマンションなどで覆いつくされそうになっていた。
留学していた1980年代、ふもとには草原が広がり、家畜がのんびり草を食み、建物といえば農業大学、病院ぐらいだった。
30年も経てば風景は変わるだろうが、ボグドハン山は1778年から特別に守られてきた信仰の山である。
森林が広がり、約220種の植物が茂り、鹿、イノシシ、野生山羊など野生動物も多い。国の特別保護区であり、1996年にはユネスコ世界自然遺産の暫定リストにあがる(Sh・シャグダル著『モンゴル観光100コース』2003年)。今も市民に親しまれ、観光施設などが点在する憩いの山である。
30万人規模の都市開発
首都ウランバートルの人口は年々増加し、2014年現在約136万人。モンゴルの総人口約300万人の45%にのぼり、まさに一極集中。市街地周辺の丘にはゲル住宅地がどんどん広がり、大気汚染が深刻な問題になっている。
一極集中を緩和するために、モンゴル政府は都市開発に乗り出している。2012年に決定した「マイダル・エコシティ」開発計画は、ボグドハン山の南山麓、ウランバートルから約50キロの地域に人口30万人規模の都市をつくるというもの。再生可能エネルギー、省エネなどによる低炭素社会、自然環境にやさしく住みやすいエコ都市をめざして、住宅、商業施設、公共施設などを整備する。
新都市の中心には、高さ54mの大弥勒菩薩像(2016年完成予定)を擁する一大仏教拠点も建設される。このプロジェクトの広報がウランバートルのガンダン寺境内に大きく掲げられていた。
同じくボグドハン山麓、新都市予定地の西のフシギーンフンディーでは、日本のODAで新国際空港が建設中だ。2016~2017年の開港予定だという。空港とウランバートルを結ぶ高速道路も建設することになっている。
ボグドハン山麓の風景は数年後、さらに変貌していることだろう。
(2015年11月)
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